学会賞
平成25年度の学会賞の授与について
第32回日本自然災害学会学術講演会が,平成25年9月24~25日に,北海道北見市の北見工業大学に於いて開催され,9月25日(水)に開かれた総会の中で,学会賞の授賞式が行われた。 日本自然災害学会の学会賞として,功績賞,学術賞,国際賞が設けられている。
学術賞は,梶谷義雄氏(京都大学防災研究所(現:(財)電力中央研究所)と多々納裕一氏(京都大学防災研究所)に授与された。
国際賞は Anawat SUPPASRI氏, Abdul MUHARI氏, Prasanthi RANASINGHE氏, Erick MAS氏, Nobuo SHUTO氏, Fumihiko IMAMURA氏, Shunichi KOSHIMURA氏に授与された。
功績賞に 該当はなかった。
学術賞
- 受賞者
- 京都大学防災研究所(現:(財)電力中央研究所) 梶谷義雄 氏
- 京都大学防災研究所 多々納裕一 氏
- 学術賞名
- 大規模災害時における産業部門の生産能力の推計-東日本大震災を対象として
- 掲載誌
- 「自然災害科学」,Vol.31,No.4,2013,pp.283-304.
- 受賞理由
- 巨大災害に対する防災計画を事前に検討する上で,各種ライフラインのサービスの供給停止やその後の回復状況に応じた企業の生産能力を把握しておくことは非常に重要である。 従来は,過去の中小の災害事例や,これに様々な前提条件や仮定を加えて推定を試みる程度しかなかった。 このような現状の中で本研究は,実際に起こった巨大震災である東日本大震災を対象に,その推計および検証を行っている点で大変意義のある研究と評価できる。 また,複合災害である東日本大震災の複数の外力(強い地震動,巨大津波,原子力事故など)を考慮している点もユニークで,今後の防災計画立案に大きく貢献すると期待される。 大規模な企業調査データに基づいてまとめられた東日本大震災が生産に影響を与えた要因の整理や,本研究の分析手法が,様々な業種(食料品,金属,機械,化学,パルプ・紙など)に対しても適用可能であることを示している点も,高く評価できる。 以上の理由から,本研究論文は「学術賞」に値すると評価された。
国際賞
- 受賞者
- Anawat SUPPASRI, Abdul MUHARI, Prasanthi RANASINGHE, Erick MAS, Nobuo SHUTO, Fumihiko IMAMURA and Shunichi KOSHIMURA
- 国際賞名
- Damage and reconstruction after the 2004 Indian Ocean tsunami and the 2011 Great East Japan tsunami, Journal of Natural Disaster Science, 34(1), 19-39, 2012
- 掲載誌
- 「Journal of Natural Disaster Science」,Vol.34,No.1,2012,pp.19-39.
- 受賞理由
- 本研究は,2004年インド洋津波によるインドネシア,タイ,スリランカを対象とした調査結果,並びに2011年東日本大震災による東北地方の津波災害の調査に基づいて,被害の状況とその後の復旧・復興を比較した研究である。 ハザード特性と被災地の事前の対策,住民の意識,社会・生活様式などの地域特性を踏まえて,被害の特徴やその後の対応を比較調査し,啓発,避難体制,継承活動などの教訓をまとめている点が評価できる。 さらに,被害実態の整理,被害関数の提案,超過外力による被害状況の調査結果から,総合的な津波対策,粘り強い構造物など,今後の対策についてまとめるとともに,各地で展開されている復旧・復興の課題についてもまとめている。 以上の理由により,本研究は「Hazard 2000国際賞」に値する研究と評価された。
これまでの受賞者一覧